面接で自分を呼ぶ一人称は、日常会話とははっきり区別しなければ、礼儀にかなわないし、子供っぽく映ります。
女性なら普段の「あたし」という言い方がついて出てしまったり、男性なら「俺」や「僕」は、友人同士には許されても、これから社会に出ようとする者が使う言葉としてふさわしくはありません。
男女ともに「わたし」「わたくし」を使うのが正しい言い方です。
たまに体育会系の人たちに多い表現で「自分」というものがありますが、これも男っぽいようでいて、実は幼稚な表現と受け取られるので気をつけましょう。
日本語というのは本当に難しいものです。
会社訪問から面接まで、先輩やら人事担当者やらに会うたびに敬語を意識して舌がもつれそうになる人もいます。
面接となると、それが最高潮に達し、最後に重役面接などといわれると、もうどうしていいかわからなくなり、敬語を使いまくるというケースも多々あります。
ところが、これは決していい印象にはなりません。
「説明会でお伺い申しあげました社長様のご立派なご創業のお精神に・・・」などと、若者がしつこいほど敬語を重ねて喋ると、かえってバカにされているように感じる年配者も多いのです。
謙譲語と尊敬語の使い間違いのようなものは許されませんが、なんでも敬語にすればいいというものでもないことを覚えておきましょう。
また、面接での質問に答えるとき、言葉のはじめに「あのう・・・」や「ええと・・・」をつけるのは、答えに自信や確信がないからだと思われがちなのでこの点も注意すること。
さらに、面接官で並んでいる人の前に「専務」とか「人事部長」と名札があれば、入社前ながら相手の肩書きはわかるものです。
そんな場で、自分に問いかけてきた人に返事をするとき、まだ社員ではないのだからと、「部長さんのおっしゃることは・・・」などというと、恥をかきます。
ましてや転職組なら、以前の会社での社員教育はどうなっているんだなどと、自分以外の人にまで恥をかかせることになります。
会社組織内での肩書きは、それ自体がひとつの敬称。
ですから、企業のトップであっても「社長」というだけで十分なのです。
|