新聞の求人欄や人材募集誌の小さなスペースで広告を打つとき、人事担当者は細心の心配りをします。
パッと目につくとか、ほかの職種と差別化をはっきりさせるとか、そのためにカタカナのネーミングを多用してみたり、歩合制の給与の最高額を固定給のように表現してみたり・・・。
応募するときは、この企業側の工夫に惑わされてはいけません。
なんだかカッコよさそうな横文字職業だと思ったら、ふつうの営業だったなんてことも多いのです。
募集広告で目についた会社があったら、なんでもいいから、就職情報誌でその企業を調べてみましょう。
実像とまではいかなくても募集広告には表れていない企業の姿が、そこから見えてきます。
そして業務内容をしっかり把握して、それに納得ができたら応募することです。
就職する会社選びの目安にするのは、たいていの人が会社案内のはずです。
リクルート時期になると送られてくるガイド誌がその入門編でしょうが、それをそのまま鵜呑みにするのは厳禁です。
というのは、出版元はさまざまでも就職ガイド誌のもとになる原稿は企業からの提供が原則だから、どこの企業だって自分の会社のマイナス面をはっきり書くわけがありません。
たまにあったとしても、それは逆説的表現で、他社との差別化のための手法なので、どこかにフォローの文章があります。
こうしたガイド誌は広報と広告の中間に位置するものだから、数字的データ以外に頼りとするものはないと考えて、業界研究と専門誌などで経営実態のチェックを欠かしてはいけません。
上昇志向は悪いことではありません。
向上心をもち、それに向かって努力してみて、さらに結果が出れば申し分ありません。
頑張って一流企業とか有名企業とされるところに就職できれば、万々歳のはずですが、そうはならないことがあるから、安易な選択は禁物です。
というのは、興味のない企業に運良く合格、有名企業だからという理由だけで入社したものの仕事にどうしても興味が持てない場合、耐えられなくなって辞めざるをえないことがあるからです。
また、名前に憧れて入った企業の仕事の実態がわかってくるにつれ、不満が募ってやめたくなることもあります。
会社説明会などに参加したとき、アバタもエクボの視点を捨て会社に、あるいは会社と自分との接点にネガティヴな要素はないかしっかり判断し、場合によっては「ダメなものはダメ」と割り切る気持ちも必要です。
会社案内を手にしたら、派手なオールカラー刷だったとか、掲載された本社ビルや保養施設などの建物のハコモノ写真が大迫力だったとか、資本金や年商実績などの優良な数字的データだけに目を奪われてはいけません。
もちろんそれらは重要な着眼点ですが、社歴や沿革を探して、どんな軌跡をたどった企業なのかを、きちんと把握しなければなりません。
細かい記載があれば、伝統があり、それに誇りを持っていると判断できます。
急成長した歴史の浅い企業でも、身元のしっかりした会社ならちゃんと記載してあるはずです。
気をつけたいのは、それらにまったく触れていない企業の場合で、身元不明の会社に引っかからないためにも、さまざまな方法での調査が必要です。